【腹部超音波検査】症例検討!腹膜垂炎の所見を検討しよう!

 

こんにちは。そのぐらふぁー12号(@yuutarin7)です。

需要があるかどうかはわかりませんが、実際に経験した症例を紹介していきます。

 

そのぐらふぁー12号
見てみてくれよな!

症例提示

症例)

49歳 女性

主訴)

右下腹部痛

既往歴)

高脂血症、高血圧

現病歴)

来院前日の夜から右下腹部の痛みを自覚していた。次第に痛みが強くなってきたため来院した。

超音波画像

 

僕だけでしょうか?いやそうではないはず。

プローベを握るものの宿命です。

腹痛の腹部エコー検査は燃えます(笑)

ということで、さっそく原因究明のために腹部超音波検査が行われました。

所見

上行結腸に接して、楕円形の内部均一な高エコー腫瘤を認めました。

描出される部位は、圧痛点に一致する場所です。

高エコー腫瘤が接している上行結腸は隣接する場所には軽度の浮腫がありそうですが、全周性の浮腫ではなさそうです。

高エコー腫瘤の辺縁には低エコー部分が見られます。

テキストを付け加えると、こんな感じです。

左側に上行結腸の輪切りがあって、それに接して周囲が低エコーで縁取られた高エコー腫瘤があります。

動画もあるのですがアップする方法がよくわかりません(苦笑)

わかり次第、動画を上げようと思います。しばしお待ちください。

腹膜垂炎ってなに?

そもそも腹膜垂ってどこにあるかご存知ですか?

結腸には結腸ヒモというヒモ状のものがついています。

それに沿って垂れ下がっている脂肪組織のことを腹膜垂といいます。

盲腸とS状結腸に多く存在していて、おおよそ100個くらいあると言われています。

腹膜垂は漿膜で結腸に連続しています。

その脂肪の塊が何らかの原因で炎症を起こした状態のことを腹膜垂炎いいます。

腫れていない人では描出されてきませんが、腹水がたまっている人では、腹膜垂がプカプカ浮いている人がいます。

内臓脂肪が多い人はそれに比例して腹膜垂も大きく、腹膜垂炎になりやすいそうです。

比較的まれな疾患であるとは言われていますが、僕自身は2年間で7例の経験があります。

画像診断能の向上や知見の蓄積によって、発見されやすくなっているのかもしれません。

鑑別すべき疾患

腹膜垂炎の身体所見は、炎症部位の圧痛です。

先ほど述べたように盲腸とS状結腸に多く存在しています。

盲腸の腹膜垂炎であれば右下腹部が痛くなります。すなわち、急性虫垂炎は否定しなければなりません。

虫垂炎を否定するには虫垂の描出は必須です。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

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また、憩室炎も鑑別しなければなりません。

腹膜垂炎は知らなければ理解できません。

 


「Medical Technology」別冊 超音波エキスパート 14 消化管エコーUPDATE スキルアップをめざして

こちらの書籍に腹膜垂炎について書かれているので参考にしてみてください。

画像判読のポイント

腹膜垂の高エコー腫瘤を脂肪織の濃度上昇ととらえてしまうと、憩室炎や虫垂炎と間違ってしまうかもしれません。

腹痛の頻度としては腹膜垂炎よりも急性虫垂炎や憩室炎の方が明らかに多いです。

したがって、検査報告書に腹膜垂炎と記載するには確実に憩室炎と急性虫垂炎は否定しておきたいところです。

憩室炎と違うところは結腸自体の浮腫がない。もしあっても、ごく軽度ということです。

憩室炎の場合は結腸の浮腫を伴っていますよね。

先ほど述べたように、腹膜垂は結腸に漿膜でつながっています。

結腸を確実に同定して、結腸に隣接する高エコー腫瘤なのか確認してください。

結腸から高エコー腫瘤につながる低エコーを証明してください。

下の写真の白い矢印の部分になります。

腹膜垂炎の治療は消炎剤での対応だけです。

憩室炎や虫垂炎のように抗生剤は必要ないとされています。無駄な投薬を避けるためにも、いかんなく超音波検査の力量を見せましょう。

まとめ

虫垂炎と憩室炎との鑑別をしっかりしよう。

結腸の浮腫の有無を確認しよう。

結腸の外側にあるか(隣接しているか)確認しよう。

結腸と高エコー腫瘤の連続する辺縁低エコーがあるか確認しよう。

以上です。

では。また。

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